ブログというものに初めて触れたのは、まだサラリーマンだった頃だ。
web担当として入社した会社にて、ある日突然「ブログ始めてくれる?」と代表取締役社長に命ぜられた。なにをどう始めればいいのかわからなかったので、とりあえず始めることは辞めた。
それから日を追うごとに「ブログは?」「ブログどうなってる?」と、しつこく迫ってくるものだから、仕方なく外注して既存の自社サイトに追加することにした。
そうして嫌々始まったブログだが、結果的にフリーランスとなってからも始めるブログに、様々な影響を与えることになる。そんなことを、このときはまだ知る由もなかった。
ブログは考えや経験を伝えるツール
これまでに体験してきたことを、比較的簡単に、かつ迅速に、しかも低料金(あるいは無料)で、世の中に発信することが出来るツール、それがブログだ。
そうして発信したことが、ときには思いもよらぬ幸運をもたらす。今をときめくユーチューバーも、ツールはブログかYouTubeの違いさえあれど、何かを世の中に発信しているという点では共通の事項だ。
それを実現しているのが、「情報の飽和」とも言える現代の世の中で、情報を求めてネットサーフィンをし、それでも見つからない情報があれば先んじて誰かが発信しようとし。
そうした繰り返しを根気強く、あるいは斬新な発想で日夜繰り広げているのが、ブロガーやユーチューバーと呼ばれる職種の人たちである。
数年前はブログでも充分な結果を得られた
今でこそ、情報やコンテンツを発信しつつ、比較的すぐに結果を得られるツールの頂点に立っているのはYouTubeだが、ほんの数年前まではブログがその位置に君臨していた。
大企業も中小企業も、個人も法人も関係なく、自社の商品やサービスを世の中にアピールするために利用していたのは、ブログというツールなのだ。そしてそれは今も変わらない。2020年になった今も、ブログを更新し続けている企業はまだ山ほど存在する。
そしてそれにはきちんとした意味があり、結果があるのだ。
企業がブログを更新することで得られている結果はわからないが、自分が書いていたことで得られたメリットを簡単に紹介しよう。
ブログを書いていたことで発生したメリット
単純な日々の出来事を綴るブログや、webに関する技術のブログ、自社サービスの広報のためのブログ。
今回はこの3つのブログに焦点を当てて、どのようなメリットが発生したのか、あるいは今も発生しているのかを、実例で紹介する。
日々の出来事
言ってみれば日記のような、それでいて余りパーソナルな内容ではなく、あくまで一般に発信できるような、そんな内容のブログだった。
このブログは3人で運営していたので、それぞれの考え方や現在の状況といったことも、なんとなく知ることが出来た。
人間、ストレートに現状を聞けないときだってあるわけで、そういうときにふと更新されているブログを見ると、漠然とだが近況を想像することができるものだ。そういう意味では、規模を縮小したSNSみたいだ。
こうした自分の日々の体験や、物事への考え方を書いていると、そういったことに共感して連絡をしてくる人、そしてそこからなんらかの仕事に繋がるケースも存在した。
偶然かどうかはわからないが、自分の場合は外国に移り住んだ日本人3名から連絡が来た。一人はアメリカ、一人はイタリア、そしてもう一人はバングラデシュだった。
あちらの土地へ出向いたこともあるし、日本に帰国した人と会ったこともある。バングラデシュの人は、現地で起業し日本のアニメをバングラデシュにて放映したり、オリジナルのアニメを作る制作会社を運営していた。
恵まれないストリートチルドレンを支援するためのwebサイト制作を、僅かだが手伝わせてもらったこともある。
webに関するブログ
これはwebに関する仕事をしている人ならばよく見かけるであろう、技術的なことを発信しているブログだ。
ブログツールの使い方といった素人目線の記事から、専門性を要する言語の記事まで、幅広いジャンルにて執筆していた。
単純に、技術的なブログを書くというのは、発信するだけではなく自分にとっての復習にもなり、せっかく学んだことを忘れてしまうリスクも格段に減らすことが出来る。もちろん内容にもよるが。
あとは、「自分ならこんなことができますよー。」と、仕事を依頼してくれたクライアント、もしくは依頼するかどうかを迷っているクライアント、への判断材料となるものとして目の前に出すことが出来る。
これが結構効果があるようで、あくまで推測だが「ここまで出来るのなら今回の案件を任せても、いいモノを作ってくれるだろう。」的な考えが相手側に浮かんでいるのでは?と実感することが多々あった。
webに限らずなんでもそうだが、専門性を要する職種であれば、それらに関する記事を自身の手で発信しておくというのは、やはり仕事においての面で役に立つタイミングが多々あることは間違いないだろう。
自社サービスの広報
自社のメインのサービスとして「MacBook等の電子機器のレンタル」を行っている。
様々な電子機器を扱っているが、中でもよく問い合わせや実際にレンタルされることが多いのは、Appleの「Apple Watch シリーズ」だ。
MacBookだってApple Watchだって、レンタルサービスを行っている競合他社は複数存在する。そんな競合他社に対抗して自社の商品がレンタルされている理由の一つに、やはりブログという存在がある。
まずは、単純に「Apple Watch レンタル」といったキーワードで検索をすると、自社のブログ記事が上位に表示される。ということは、ユーザーの目に触れる機会が自然と多くなり、更にはレンタルされる確率もおのずと増える。
もう一つは、自社のブランディングとしての地位も担っている。レンタルしている商品の価値や使い方を説明しているので、そういった記事を見たユーザーにとって、レンタルを決断するための後押しとなる役目がある。
メリットは多種多様
先に挙げたように、ブログがもたらしてくれるメリットは、ブログの書き手や内容によって、多種多様だ。
飲食店であればメニューの内容や価格、そして料理を作っている途中の写真から出来上がった写真、といったものを掲載しているし。
スポーツジムであれば、スタッフが実際に機器を利用した様子や使い方を説明していたりと、それぞれに合った内容で発信している。
あくまで個人的な意見となるが、飲食店なのにスポーツジムに通っている記事があっても面白いと思う。例えば、中華料理の重い鍋を軽々振り回せるようになるためにジムに通ってます!というような。
なにはともあれ、特色を出すにしても、関係のない記事でアピールするにしても、最低限のモラルは守る必要がある。読む人の大半を不快にさせてしまうような記事では、書いている方だって面白くないのだから。